「天穏 ひやおろし 純米生詰原酒 R2BY」ひやおろしとはかくあるべきという一つの答え
神話の舞台、島根県出雲市から板倉酒造さんが送る秋酒「天穏 ひやおろし 純米生詰原酒」です。酒蔵のホームページにて山陰吟醸による丁寧な造りとブラッシュアップから練られたスペック構成で完成の域に達したと紹介されています。
天穏という銘柄は以前からとても気になっていましたが、「全てのひやおろしの基準となる酒に」というキャッチフレーズに購入欲を抑えずにはいられませんでした。今回はその真意に迫りたいと思います。
ちなみに、お酒だけではなく酒蔵(特に杜氏の小島氏)の日本酒に対する考え方、世界観ともに興味深いものがあるので気になる方はぜひホームページを訪れてみてくださいませ!
カニとの相性抜群な自然な甘味と深い旨味、甲羅酒もいいぞ
生詰原酒との相性のよさから昨年より酵母を7号→6号に変更されたそうです。酒造りでは2日48時間ほどかけて作られる二日麹が主流ですが、味に深みを増す目的から3日かけて麹を作られています(三日麹)。山陰吟醸についてはここで説明すると長くなるのでこちらを参照してください。
香りは麹様の甘やかさの中に酸を感じさせる青草の様なニュアンスを感じます。このフルーティーとは異なる甘系の香り大好きなのでこの時点でかなり期待が膨らみます。
口当たりはやわらかく米の持つ自然な甘味旨味が広がり後口はドライにキレます。含むとトロっとした触感を感じますがキュっとした酸味とともに次第にすぅーっと滑らかに舌の上を流れていきます。余韻にかけては酸味と苦味によってドライにキレてお酒が口に残りません。甘旨と度数17というしっかりとした飲みごたえと丁寧な造りによる飲みやすさが同居したバランスのとれた味わいです。
お燗についてはぬる燗も捨てがたいですが、個人的には熱燗にした際の濃ゆ~い甘旨と後口のキレが印象的だったので熱燗をおすすめしたいです。
また、この時期ならではということでズワイガニとともに頂きましたがもう至福の一言です。カニのもつ甘味、カニ味噌と和えることにより深まる旨味が酒とよく合います。甲羅を器にして、食べ終わった後に熱燗を注いでいただく甲羅酒も最高です。
日本酒全体の多様化もあって様々なタイプの秋酒がある昨今のひやおろし事情ですが、新酒からひと夏を越したことによる落ち着き、そしてこれから先の熟成に対する期待・・・ひやおろしとはこうあるべきなのかと思わせられました。
というわけで、個人的に2021年で一番期待の大きかった天穏でしたが120%の満足感を得られるいいお酒でした。来年は一升瓶で買って秋はひやおろしの基準として、冬が終わる位までゆっくり時間をかけて飲んでみたいと思います。
最後になりますが新年明けましておめでとうございます。
今年こそは更新頻度上げられるように頑張っていきたいですねー
それではまた!
- やや濃醇
- キレがいい
甘辛:甘| | |○| | |辛
濃淡:濃| |○| | | |淡
香り:穏| |○| | | |華
タイプ:クラシック/ミディアム
おすすめの飲み方:冷酒常温お燗
合わせた料理:蟹蟹蟹!!!
商品情報
特定名称 | 純米酒 |
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原材料 | 米(国産)、米麹(国産米) |
原料米 | 奥出雲産五百万石100% |
精米歩合 | 60% |
アルコール分 | 17度 |
日本酒度 | +4 |
酸度 | - |
酒蔵情報
板倉酒造有限会社 | |
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所在地 | 島根県出雲市塩治町468 |
ホームページ | https://www.tenon.jp/ |